君の僕
ガシャンッと音を立てて、
テーブルが転がる。
大きな音と、
彩斗の怒りの温度に、
私は身をすくめた。
「引きずったって仕方ないだろう。」
「うるせぇ!!!」
彩斗が声を荒げたのを
私は初めて目にし、耳にする。
私が驚いていると
相当頭に来てたのか、
私を置き去りにしてその場から出て行った。
お父さんと、私のふたりきり。
話すことなんて、見つからない。
…話しかけていいのかも分からない
でも、その場を動くことは出来なかった。
少しの沈黙。
気まずい空気。
それを破ったのはお父さんだ。
「そこ、座りな。」
大きなソファを指差す。
「あ…、はい。」
指示された通りに座ろうと、
足を進めたが膝が震えてた。
「そんなに怖がるなよ。」
ハハッと笑ったお父さんは
何処と無く彩斗の笑顔を似ていて…
やっぱり、親子だ。って実感させる。