君の僕

お父さんは私を向き合うように
向かい側のソファに座った。

「アイツのどこがいい。」

「えっと…、満たしてくれるとこ、です。」

「満たす、か。…まぁいい。
アイツと居てもアンタは幸せになんねぇぞ。」

煙草に火をつけながら、
私を見る。

こんな高級そうな家に住んで
高級そうな家具を揃えてるのに
煙草がマルボロってのに
少しだけ親近感が沸いた。

「幸せ…ですよ?」

「いや、それはアイツの表向き。
裏を知ればアンタは離れるんだろう。」

やっぱり、意味が分からない。
でも突っ込んで聞くほど
私には勇気が無くて…

「・・・。」

「まぁ、撮り合えず関谷んとこに居るなら
覚悟は必要だ。っつーことだ。」

「…はぁ…。」

「分からないならそれでいい。
アイツなら2階に居るから連れて帰れ。」

お父さんはそう言って席を立つ。
半分以上残ってるのに、
煙草を灰皿に押し付けて。

「あ。日高と坂井に連絡よこせ。って
伝えといてな?」

スーツの裾を叩いて直し、
お父さんは部屋を後にした。

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