君の僕

車を止めた場所まで戻り、
今度は東に向って歩き出す。

ヒールを履いている所為か、
靴擦れで足が痛い。


「足、大丈夫か?」

「え?」

分かりやすくしてたつもり、
無いんだけどな…

「怪我してんの?」

「ううん。大丈夫だよ、これくらい。」

「無理すんなよ?」

慣れてなさそうな
優しい気遣いが嬉しかった。


1回も曲がらずに真っ直ぐ歩いていると
少しずつヤンキーが増えてきた。

ヤンキーと言っても
弘樹先輩等と風貌は変わらない。
だから、ちょっとした親近感が沸く。

「悪ぃけど、挨拶してくるから
ここで待ってられる?」

「あー、うん。いいよ。」

離れた手に寂しさが募る。

「早く帰ってきてね?」

「可愛い。すぐ帰ってきてやる。」

抱きしめられた温もりに
自然と笑みがこぼれた。


黒いスーツを来た
眼鏡の男のところに走って行った彩斗を
見えなくなるまで見つめて見送り。

寂しさ半分、幸せ半分
…そんな感じ。

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