君の僕
すぐに私宅をし、家を出る。
「こんな時間から何処行くの!?」
そんなお母さんの声を、
気にしている余裕なんか無かった。
お気に入りの真っ赤な自転車を
乱暴にこぐ。
どれだけ一生懸命こいでも、
足が疲れてくるだけで速さは変わらない。
…いや、そう感じるだけなのかも
何度も彩斗の家に行ったことあったけど
こんなに遠いと感じたのは、
今日が初めてだった。
不安と恐怖で半泣き状態の私を、
見て見ぬ振りをして
通り過ぎていく街の人。
当たり前のこと。
私だって、そうするもん。
でも、この時だけは
残酷に思った。
助けて欲しかった。