君の僕
彩斗が指定した部屋の戸を
ゆっくり開けると、
そこは別世界だった。
寝室なのか、大きなベット。
サテンの深紅のシーツが掛けられ
ベッドの周りには、柵が。
でも、安っぽさを感じさせない。
部屋のカーテンも赤く、
絨毯だけが黒かった。
「そこ、座れ。」
ベッドを指さす。
足が震えた。
ゆっくり、ゆっくり腰を掛けると
彩斗も隣に腰掛けた。
「お前、この何日間で何してた?」
「家に居た…。あと、学校。」
「関谷んとこは?」
鋭い目が、視界に入る。
私は俯いて、首を横に振った。
「前、俺が渡辺さんのとこ行った時
話してた男とは?」
尚輝の…こと?
何を疑ってるんだろう…
「あれ以来会ってない…よ?」
それが真実だった。
だって、知らないもん。
彼がどこに住んでるのか。
彼がどういう人なのか。
私、全く知らないもん。
ただ、この前
尚輝と亜美ちゃんのことを
教えてもらっただけ…