君の僕
ふたりでじゃれ合っているうちに、
彩斗は寝息を立て始めた。
きっと、疲れたんだろね。
…朝早くに起こしちゃったし。
相変わらずの金髪が
プリンになったとこ、見たこと無いな…
なぁんて、彩斗の頬をつつく。
長いまつげ。
鋭い目は、可愛くて…
憎らしいくらい高い鼻。
薄っぺらい唇。
私より顔、小さいんだもん。
凄く、整ってるんだもん。
…嫉妬しちゃう。
私と彩斗の温度で、
生暖かくなった布団から静かに出て
リビングのソファに座る。
私の為に冷蔵庫に入れておいてくれた
オレンジジュースを
黒いグラスに少しずつ注いだ。
「可愛いね、これ」
捨てる寸前に私がそう言ったから、
食器棚に置いていてくれた
センスのいい黒いガラスのグラス。
そういう、小さい小さい優しさが
どうしようもなく嬉しくさせた。