君の僕

キッチンの掃除をして、
ふたりで家を出た。
お馴染みのBMWは
やっぱり乗りづらい。

「どこ食べに行くの?」

「内緒。」

鼻歌交じりの陽気な彩斗に
私も気分が良かった。


車が走る方向には、
見慣れない街があった。

いかにも高そうなお店が沢山。

和食の店が多かった。


「降りろー。」

「ん?あ、はぁい。」

駐車場には、車があんまり無い。

「ここ、美味しいの?」

「その言葉、忘れんなよ?」

にんまり笑う彩斗が、可愛らしかった。


目の前に建つ、木造のお店は
高級そうな雰囲気を感じさせる。

見た目だけは、
敷居が高そうに見えた。


「いらっしゃいませ。」

品が良い女の人が、
お出迎え。

まるで、旅館かと思わせる内装に
ドキリとした。

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