君の僕

「何かあった?」

「ん…。あのね、彩斗は
元カノのことがまだ好きなの。」

「元カノって?」

「先輩のとこに居た子なんだってさ。
…亜美ちゃんって言うんだけど、
亡くなっちゃったみたいだよ…。」

彩斗の名前と、
亜美ちゃんの名前。
口にすればするほど、今は悲しい。

「聞いたことあるよ、それ。
みーが入るほんの少し前のことだもん。」

「そっかぁ…。
亜美ちゃんが書いた彩斗宛ての手紙を
勝手に読んじゃってさ?」

「怒られたのか。」

「うん…。
“どれだけ大事か分かってんのか!?”って。」

気分がまた、沈む。
また、泣きそうになる。

「それは、キツイね…。」

温かいミルクココアを
一口飲むと涙腺に響いた。

涙が目に浮かぶ。

「いいよ?泣いて。
誰も、聞いてないから…さ。」

私にティッシュの箱を渡し、
美月はTVをつけた。

背中を向けて、私の泣き顔を
見ないようにしてくれる優しさ。
…嬉し過ぎた。

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