君の僕
ワックスとマイセンの香りも
数時間前、数分前には乗っていた
彩斗お気に入りのBMWも
こうやって抱きしめ合うのも
…全部、全部、懐かしく思えた。
離れ離れになってしまうことへの
不安から開放されたからなのかな…?
雑誌コーナーから、車への
ほんの数歩の道を
力一杯手を握って歩く。
幸せ過ぎて、ちょっぴり不安で。
でも、彩斗が大好きだと実感させてくれた。
「ねぇ?亜美ちゃんと私、
今はどっちが勝ってるのかな…。」
そう聞いたのは、彩斗の家近くの交差点。
不安になったわけじゃない。
別に勝ってなくても良いと思った。
…でも、曖昧なのは嫌。
負けてるならちゃんと頑張るから…
「んなの、千恵だろ?」
その言葉に涙が落ちた。