【短編集】時空郵便
「写真は撮ってあげられないけど、絵は書いてあげられる。ね?」
そう言うのだが子供達は純粋だ。
良くも、悪くも……
「何だよケチィ」
「写真じゃないなら要らないやい。絵なんか飾ったってダセェもん」
そう言い残して子供達は再び遊具を使って遊び始めるのだった。
「絵なんかダサいかぁ……」
あのアスレチックは子供達の元気の赤。
雲に隠された空は私の悲しみの青。
蹴り飛ばされたボールはあの子達と触れ合えた喜びの黄色。
感情が微量な色彩の配分を狂わせ、そこに個性という名の歪みを写し出す。
だからこそ私はカメラよりも絵を描くことを選ぶのだ。
流れる景色も、刹那に変わる光の濃さも、その時の思い出や感情も――
そっくりそのまま写生する。この単純な作業のなんと難しいことか。
「……よし、できた」
今日のスケッチが終わった。
また明日も私はこの景色を真っ白なキャンバスに描き続けるのだろう。
きっと、ずっと――