【短編集】時空郵便
部活が終わった後。
僕は麻衣ちゃんを呼び出していた。
何の為かって?
そ、そりゃあ勿論――
「ハル君、お待たせ。」
「あ、うん。ゴメンね部活の後なのに。」
僕は呼び出していた、高校の近くの公園のベンチに座る。
昼間は老人や子供達で賑わうこの公園も、夕方を過ぎると寂しいものになっていた。
「ううん。涼しい風だね。」
「うん。」
そう言って髪の毛をかきあげた仕草に、僕はドキッとしてしまう。
やばい顔赤くなってるかも……
「あ、あの麻衣ちゃん?」
「ん、なーに?」
見つめられると吸い込まれそうになってしまう瞳。
その中に写る僕は今、どんな顔をしているんだろう――?
きっと自信なさげで、ふにゃふにゃな格好悪い顔してるんだろうな。
「麻衣ちゃん、オレ……」
なんでだ?なんでたった一言「好きだ」って伝えるだけがこんなにも難しいんだろう。
こんな緊張はテニスでも味わったことないなんて言ったら、不謹慎なのか?
「オレ、その……その。」
早く言えよ。
麻衣ちゃんが不思議がってるじゃねーかよ。
あ、バカ。俯くなって……