【短編集】時空郵便

八年ごしの告白は実り、僕はすぐにテニス界から身を退き、麻衣ちゃんと結婚した。

テニスばかりで勉強をろくにしてこなかったことを、少しだけ後悔したけど、なんとか一般企業に再就職することができた。


その二年後にショウタが麻衣ちゃんのお腹に宿った。





「幸せ」って何だろう?

僕は今でもそんなことを考えてしまう。


温かい家庭?

裕福な生活?

たくさんの絆?

夢の成就?


なんだろう……それだけじゃ納得できないんだよな。

ううん、なんていうか幸せってこう――

「パパぁ。」

ショウタが僕の足にしがみつき、汗を掻いたままの頭をスリスリとなすりつけた。

「うふふ。本当にショウタはパパが好きね。」

「パパ、スキスキ。」


二人の笑顔が僕の涙腺を刺激した。

そうなんだよ。

幸せってきっと理屈や言葉で表せるもんなんかじゃなくて――

胸はポカポカしてるのに、無性に泣きたくなるくらい温かくて――

涙で滲んだみたいにこうキラキラしてる。

こんなことを言うんじゃないかな。




もしも、あの日後悔していた自分に会えたなら僕は自信を持ってこう言うだろう。

「大丈夫君は間違っていないよ。幸せになれるから、もう少し頑張ろう。」と――

僕が居て、君がいて、ショウタが笑ってくれる。

そんなキラキラした幸せがきっと待ってるから。





時空郵便は今日も誰かの元へ。

それはいつでも届くとは限らない。

受け取れるかどうか、それだってあなた次第。

そして、運命を変えるかどうかは、"過去"や"未来"のあなた自身にかかっています。



「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ『時空郵便』の者でーす。」

...『しあわせキラキラ』fine.

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