【短編集】時空郵便
四通目:カキナリじいさん
「あぶ、あぶ。」
まだまだ言葉も喋れない赤ん坊が、木枠の暖かなベビーベッドで天井を見つめている。
それを優しげな瞳で見つめる女性。
「あらあら、どこにあったのかしらこんな紙切れ?」
赤ん坊はペンを不器用に握りミミズの様な、字とは言えない字をどこからか見つけた真っ白な紙に書いていた。
女性は見覚えのない紙とペンを取り上げると机の隅に置き、ミルクを作る為にキッチンへと消えていった。
「ばぶー。」
赤ん坊は誰もいない机の方を見て微笑む。
「確かに手紙、承りましたよ。」
女性が人肌まで温めたミルクを作って部屋に戻ってくると。
「あら?さっきの紙はどこにいったのかしら?」
音もたてずにその紙とペンは消えていた。
「変ねぇ……」