【短編集】時空郵便
「こぉらぁぁあ。この悪ガキども!!いったい何べんウチの柿を盗み食いするなと言ったら分かるんだ!!」
柿の木に止まり落ち着いた夕食を堪能していたはずの小鳥が、その柿の木の家の主の怒鳴り声でそそくさと巣に帰っていった。
「あははー。出たカミナリ親父ぃ。」
「うわー、ヘソ取られるぞ、逃げろー。」
近所の小学生が笑いながら走り去っていく。
そんな様子を眉間にシワを寄せながら、それでも何処か愛しげに見つめる老人がいる。
老人は手に持っていたホウキをゆっくりと玄関の横に立て掛けると、家の中へと入っていった。