【短編集】時空郵便
月曜日の朝。
「奈緒美ー、起きなさい!」
「んん……わかってるぅ」
お母さんの声で目が覚めた。
「わかってるぅじゃないわよ。何時だと思ってるの?
学校遅刻だけは許さないからね」
そう言ってお母さんは桃色のカーテンをシャッと開ける。
目が痛いほどの光が射し込んできて、私は頭の下にあった枕で顔を隠す。
「なんでこうウチの人達は朝に弱いのかしら。私がもしも居なくなったらどうするんだか……」
そんなあり得ない様な"もしも"を呟いてお母さんが下に降りていった。
「んー……眠い」
うだうだと何度も寝返りをうった。
ちょっとずつ目がさえてくる。
カチャ。
すると部屋の扉が再び開く音がした。
「お母さん?もう起きるからぁ」
枕を横に置いてゆっくりと目を開けると
そこには深緑の制服を着た郵便局員が立っていた。
「"未来のあなた"からお手紙を預かっています。どうぞ」
男は私に真っ白な封筒を手渡すと音もなく消えていった。
私はおそるおそるその封筒を開ける。