【短編集】時空郵便
月曜日の朝。
「奈緒美ー、起きなさい!」
「んん……わかってるぅ」
お父さんの声で目が覚めた。
「わかってるぅじゃないよ。何時だと思ってるんだ?
学校遅刻だけは許さないからな」
そう言ってお父さんは桃色のカーテンをシャッと開けた。
目が痛いほどの光が射し込んできて、私はぼーっとしながらも身体を起こした。
「うぅ眠い……お父さんありがとう」
「おう。納豆ご飯あるから早く着替えて降りてきな」
「分かったぁ」
眠気眼をこすって机の上にあるお母さんの写真を見た。
「お母さんお早う」
お母さんが死んでまだ1ヶ月も経たない。
泣いて泣いて。
涙が枯れるまで泣いて。
ありがとうも大好きもいっぱいいっぱい言ってきたけど。
もっと伝えたい気持ちがあったって今でも後悔している。
でも、その分だけ私は毎朝起こしてくれるお父さんに気持ちを伝えていこうと思うんだ。
「お父さん大好き」
下に降りた私がそう言うと、お父さんは照れ臭そうに仏壇のお母さんを見ながら笑った。
時空郵便は今日も誰かの元へ。
しかしそれは運命を変えるとは限らない。
しかしあなた自身に何か変化を与える――かもしれない。
「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ『時空郵便』の者でーす」
...『伝えたい気持ち』fine.