【短編集】時空郵便
「えっ…!?うわぁあっ!!お母さーん。お母さーん、変な男がいきなり部屋に入ってきたよー。」

その男を見るなり僕は下の階にいる母に助けを求めた。

泥棒?(不正解)

空き巣?(不正解)

新手の詐欺?(不正解)

変人?(正解)

「あー、無駄っスよ。アタシの姿を今見ることが出来るのは依頼人の"過去のあなた"だけ。っスから。」

へらへら笑いながら近寄ってくるその男に僕は恐怖を覚えた。

そして母が僕の部屋へと入ってきた。

「本当なの!?怪しい奴が部屋に来たって。居ないじゃない。何処に消えたの!?」

え?お母さんの目の前に居るじゃないか。

「え…だってココにいるじゃないか。」

僕は緑色の上下の服に身を包み、変なロゴの入ったバッグを肩からぶら下げている男を指差した。

「私が変な人ですって!?ふざけたこと言ってないで勉強なさい!!あなたは私の言うとおり勉強だけしていればいいんです!!」

母は訳も分からなく激怒すると部屋を出ていった。

「ダーメじゃないスかぁ。お母さんにはアタシの姿見えないんだから。アタシを指差したら、アタシの後ろに居たお母さん指差してるように見えちゃうんスからね。」
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