【短編集】時空郵便

「ふぅ。それにしてもひどい仕打ちを受けてしまったものですねぇ」

配達人は真っ赤な部屋の、丸机に帽子を脱ぎ、置いた。

「「また会いに来るよ」だなんて守れない約束をして感謝なんてされてしまったら、潰れてしまいそうですよ」

配達人は手紙を渡し、受けとり、届けたものの全てを覚えている。

しかして、依頼主となった人々の記憶や心からは、配達人が去る際に自らの存在を消去しなくてはならない。

「これが罪を背負った私への業ってやつっスか?」

小さな呟きが何もない真っ赤な部屋に、わずかばかり反響していとも簡単に消えた。

「さて、次のお仕事も頑張りますかねぇ」











今日も時空郵便は誰かの元に。

それは二択のみを迫るものではないようで、過去か未来を変える。

もしくは過去も未来も変えない。

それらから選択をするのはあなた次第。

「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ!時空郵便のものでーーす」


軌跡と奇跡fin.....
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