Sin
「…似てたから…Sinに…」
あたしはこれ以上あたしに向けられている冷たい眼を直視する事が出来なくて下を向いた。
「それだけ?」
一瞬言ってる意味が分からなかったけどすぐに理解した。
この人はあたしを疑っている。
何で知ってるんだ。
どこで知った。って。
「…っあたしはっSinに救われたんですっ
声だけでだってっあたしはわかりますっ」
次は真さんの目を見ながら言えた。
言いたいことは言った、けどここにいるのはもうきつい。
あたしは‘失礼します’とだけ言ってきた方向に戻っていった。
目には涙が浮かんでた。
こらえるのに必死だから今、あたしは変な顔をしてると思う。
でも今はこらえる方が大事。
ただ信じてくれなかった、それが悲しくて。
あたしがいくら馬鹿だとしても信じてくれなかったって事に何か理由があったって思う。
だけど、信じてくれなかったっていう事実だけがあたしの胸に突き刺さってた。
元のテーブルに戻ると月が戻ってた。
「雫、どこにいってたのよ」
と月は冷静に何かを飲みながら問いかける。
「月ぃ~」
あたしはぽろぽろと溢れ出す涙を止める事をしないで泣いた。
もう止める必要はなかった。
涙を見せたくない相手はもういない。
「ちょっどうしたのよ」
言い方は少し冷たいけど月のあったかい手はあたしの背中をさすってくれていた。