Sin







「雫何してんの」



心底悲しい気持ちでたちつくすあたしを見て親友の月はそう言った。




「冷たっ!!あたしがSin好きなの知っててその言葉って」


あたしは最強の女の子軍団に聞こえない程度の声で反撃をした。



「だってあたし別に好きじゃないし。それにあの子たちが言った事だって本当かも知れないでしょ!」



「本当だとしてもいいもん。声に惚れたんだから!!どんな人でも納得できる!」


これは本当。



「でも、あれは悪口だよ?内容は関係なく悪口言ってる人が許せないのっ」


語尾が少し大きくなってしまって女の子軍団に睨まれる。
あたしは引きつってしまったけど、月の女の子軍団でも叶わない美少女の完璧な笑みを見て悔しそうにまた前を向いた。

あの女の子たちがそこそこ可愛いのに対して月は芸能人並に綺麗なので月には言い返せない。


でも、あたしには言い返す…
それってものすごくあたしに失礼なのでわっ


当たってるだけに文句言えないけど…



あたしの髪はくせっ毛でいつも肩より少し長いくらいで揃えてるから月みたいなストレートがうらやましい。


自分のくるんとした毛先をつかみながらため息をつく。



「何ため息何かついてんのよ。雫らしくないわね」


言い方はきついけど素直じゃない優しさをあたしは知ってる。



「んー…ちょっとね」



月が羨ましいなんて言える訳ない。



「何なのよ。今日いい事あるんじゃないの?」




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