Sin







「あ~!!寒い…」




あたしは思わずそう漏らした。
Sinのためだったら何時間でも待てるんだけど…
やっぱり寒いものは寒い!!


「あたしのデータ間違ってたかな…」




学校からでて2時間。
あたしの予想ではもう来てもおかしくないのに。
ついつい弱気になってしまう。



Sinの事務所は都会って感じのきれいな建物だった。
ここって言うのは間違いないんだけど…
事務所には何人かが出入りしてるけど声を聞く限りSinじゃないって確信するからまだ来ていない。
声…を聞けばわかるんだよ…

あの…甘いとけちゃいそうなあの声を…




Sinにあったらまずなんて言おう…
やっぱりそこは無難に

「ずっとファンでした!!」


とか?
う~ん、普通すぎるなぁ…もっとこう…印象に残るような…



「大好きです!!結婚して下さい!!」



これはいい!!


いいけど…振られたときが悲しすぎるし…
Sinはバンドだから他のメンバーに聞かれるなんて真さんがかわいそう!!
あたしが勝手につけたあだ名なんだけど…Sinの初めてのシングルが‘真実’ってタイトルだったからそこからとってあたしが惚れたヴォーカルの人は真さんになってる。

これは月にも話してない。

あたしのネーミングセンスのなさを本気で心配されそうだからやめておいた。

『雫、あたしあたなの将来がほんとに心配だから何か名前をつける時はあたしを呼んで。』

月なら確実にそう言うにきまってる。


それが冗談とかじゃなく真顔でいってくるから笑えないんだよね…




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