Sin
そんな事を考えてたら向こう側から人が来た。
「それがさぁ聞いてくれよ…」
「何、何?女に振られでもした?」
「つーかふられてくれ!!1度でいいからあの屈辱を味わえ!!」
「俺もそう思う~」
「おめぇらひでぇ!!ほんとにそれでも友達かよ…」
いつの間にかあたしは泣いていた。
今までCDの中でしか会えなかった声が…
はじめに‘それがさぁ聞いてくれよ…’って言った人…
あのひとは真さんに決まってる…
あたしの全身がそう訴えてる。
あたしは玄関のすぐそばのところにいたからその人たちにじろじろ見られてしまった。
泣いてるあたしはたぶん変な人に映ってるんだろう…
溢れ出してくる涙を拭きながら必死に前を見たら真さんと目があった。
他の人が‘何なんだ、こいつ’って見てくる中真さんは口パクで‘大丈夫?’と聞いてくれた。あたしは嬉しくて恥ずかしくてこくんとうつむきながら下を向いた。
声を…
って思ってたらもうその人たちはいなかった…
でも、一目見れた…
声が聞けた…
話しかけてくれた…
あたしにはそれだけでもう胸がいっぱいだった。胸がいっぱいってこの事を言うんだなって初めて知った。