Sin




ちょっとだけ過去に浸りながらあたしはスーパーに寄った。

さっきはあんなこと言ったけどもう8時だから待たせてたことも含めて今日はハンバーグにしようと思う。
あたしは材料を買って家に向かった。


あたしの家は一戸建て。
お兄ちゃんが色々考えた結果、お母さん達と住んでいた家にそのまま住むことになった。あたしのためでもあったと思う。
あの頃のあたしは本当に情緒不安定だったからこれ以上今までの生活から変わりたくなかった。

お兄ちゃんは、大好き。



だけどまきさんのことを考えないお兄ちゃんは嫌い。



家に入るとまきさんが来ていた。
黒のカッコいいパンプスはまきさんのもの。



「おっ雫~帰ってきたかぁーおかえり」


お兄ちゃんはゆったりとした声であたしを迎えた。


「ただいま。夕飯急いで作るけど時間、かかってもいい?」


「カップラじゃないならー」



「まきさんは夕飯は?」



「ううん~私の分もあるの?」



「あ、たぶん。ハンバーグなんで。」



そう答えたあたしに向かってまきさんは‘それじゃあお願い’と言って微笑んだ。
笑ったとかじゃなくてほんとに微笑んだっていう表現がぴったしな表情だった。



あたしは準備に取り掛かった。
いろんなことを早くやってなんと30分で完成した。
自分でもびっくり!!
ご飯は買ってあったからそれを温めて盛り付けて出した。



「うわ~おいしそう!!」


とまきさんはあたしの料理をほめてくれた。


「私こんなの作れないよ?」


それは将来がかなり不安なんですが…









< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop