もうひとつの桃太郎
「はて、おじいさん、もしかして
ここからカボチャを落とすんですね」
「そのとおり!そしたらカボチャは
ゴロゴロ転がって下に落ち
割れるっていう手はずなんじゃが」
おばあさんはおじいさんの名案を
たたえて夢中で手をたたきました
ふたりはひもをほどき
「いち、にの、さん!」
カボチャを転がしました
カボチャはみるみるうちに
落ちていきました
おじいさんとおばあさんは
ときどき転びそうになりながら
降りていきました
さて、カボチャにたどりつくと
「おおっ!」
しっかり大きな割れ目がありました
ふたりは顔を見合わせて
にっこりと笑いました
「やっぱり、ここは男の子が
出てくるんでしょうかねえ」
おばあさんがおそるおそる
割れ目に手を入れると
おじいさんも駆け寄り、ふたりで
パカッとカボチャを割りました
すると、まあどうでしょう~!
中からかわいい傷だらけの
男の子が出てきました
「こんにちは!おじいさん
おばあさん!」
ぷくっと太った裸ん坊の男の子は
カボ太郎と名づけられました
カボ太郎は崖から落ちたので
あっちこっちケガをしていました
でもカボ太郎はおじいさんと
おばあさんにたいそう愛され
すくすくと育ち、やがてりっぱな
青年となり、頭も硬くなりました