♂性別転換♀

「んーや、なんでもないっすよ」


大翔が俺の隣に腰掛ける。


ここからは真面目な話だから、真顔になり声をいつもより低くして口火を切った。


「大翔、お前は魔法で『俺と関わった全ての人から、俺に関する記憶を消した』つったよな?」


俺の真剣さが伝わったのか、大翔は唸りながら腕を組んで顔を伏せた。


なんか、嫌な予感。


その予感はズバリ的中し、大翔の次の言葉に耳を疑った。


というか信じたくない。


だって大翔の言った真実は、


「正確に言うとね、誰一人としてお姉ちゃんとの記憶を消してないんだ」


この物語の根本的な基盤を崩壊させるものだったから。


「は? 消してない?」
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