♂性別転換♀
どういうことだよ。 そう続けようとしたら、大翔によって遮られた。
悪びれた様子もなく、あの屈託のない笑みで。
「消したっていうのは言葉のアヤで、本当の事をいうと記憶を忘れさせただけなんだ。わかる?」
「全っ然わかりません」
「うーん……だから、数ある記憶が保管されている倉庫に、お姉ちゃんに関する記憶を一番奥に追いやったの。たまにあるでしょ、もう少しで思い出すのに思い出せない。それとおんなじ」
大翔は続ける。
「つまり、記憶に埋もれ過ぎて引っ張り出すどころか存在自体を忘れちゃったの。記憶を消す、つまり忘れたってことは、記憶そのものは無くなってないんだ」
さ、さっぱり分かりまてん……。
記憶記憶と長ったらしく説明されても、頭がヘチマの俺には理解できませんよ、大翔さん。
怪訝そうな顔付きをしている俺を見て、大翔はわざとらしく大きく溜息を吐いた。
眉尻が下がって八の字になってますよ。