♂性別転換♀

ジロジロと好奇の目線を感じるし、ピンクな視線も感じるし、恥ずかしいったらあやしない。


男共が騒ぐのはまだいいが、傍らに山田君がいるせいか「朝からお熱いですなあ~」とからかわれるのは耐えられない。


「おいこら山田。少し距離を取れよ」


「そんなこと言わないでくださいよ。同じ穴のムジナじゃないですかあ~」


その使い方はぜってえ間違ってるだろ。


ムカムカしながら正門を抜け下駄箱に向かう途中、惨劇が起きた。


「危ない!」と背後から山田君の声。


なんだよもーと振り返えろうと足を止めると、ガシャーン! と目の前ギリギリで机が落下した。


折れた脚が、その衝撃を物語る。


辺りはざわめき、俺の頬には冷や汗が伝う。


もし山田君が落下する机に気付いていなかったら。俺に声をかけるタイミングが後少し遅れていたら……。
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