♂性別転換♀
魔力20
帰り道。落ち込んでいる俺は、地面を眺めながら亡霊の如く街中を徘徊している。
大翔になんて説明しよう。
実はほんの少しだけ、ミクロくらいのちっちゃさだけど、心の片隅では受かりと思っていた。
タレントに興味がないことは事実。受かりたいと思ったのは、俺が原因ではない。
大翔だ。
このオーディションが鍵だったんだ。
厳重に固く閉ざされた心の扉を開けられる鍵。
深い深い深海に眠っていた鍵が浮上したというのに、俺はみすみす取り損ねてしまったのだ。
このオーディションがキーポイントだったのに。
二次審査に進めれば、大翔のことが少しでも分かったのかも知れなかったのに。
情けない。本当に情けない。