♂性別転換♀
問答無用のパンチのラッシュ。
しかも顔面のみの一点集中。
満員電車のはずなのに、俺と女性の周りには空間が空き、その影響で攻撃もし易くなっている。
痛みなんてとうに超えて、意識は半分逝っちゃっております。このままじゃ確実にあの世へ逝きます。
もう無理……。
俺はこのまま変態というレッテルを張られたまま死んでいくのだと思いながら、意識を手放そうとした瞬間。
電車が止まり、人ごみに巻き込まれて駅のプラットホームに投げ出された。
「ダ、ダズガッダァ……」
―――もしもこの駅で投げ出されなかったら、俺はあのような摩訶不思議な体験をしなくてすんだのだろうか?
これから先に待ち構えている現実など知り由もなく、俺はただ大の字で伸びているのだった。
【♂性別転換♀】