♂性別転換♀
魔力8
「お前が好きだ」
放課後の教室。
西日が辺りを照らし、二人だけの空間を茜色に染め上げる。
「じょ、冗談はよせやいっ」
一種の気の迷いに違いない。
女になったからって、記憶がないからって、虎ちゃんが俺に告白するなんてありえない。
そう、虎ちゃんはからかってるんだ。
ウブでいたいけな転校生をいじめて面白がってんだ。なんてドSなんでしょう、まったく。
「冗談で好きでもない女に告白するほど、俺は器用じゃないんだ」
虎ちゃんが、俺の両肩を掴む。
その眼差しは真っ直ぐで、俺の心を捕らえたのか身動き一つできない。
そんなこと言わなくたって、虎ちゃんが嘘をついたりからかったりするような奴じゃないくらい分かってる。