(タイム)Timeless(レス)
この夢が始まって、どれくらい時間が経ってるんだろう。

こっちはもう夜の10時。
現実は?
もしかしたら、まだ1時間も経ってなかったり……

うわ。
すっげー、無駄に歳とった気分。

それ、きついな。
夢と現実、同じように経過してってくれよ。
頼むから……


『瑛太ー。 早くお風呂入っちゃいなさいよー』

階段の下から、母親の声が響く。
懐かしい言葉だよな。
「風呂入れ」なんて、もう何年も聞いてない。


『もう! 早く入らないとお父さん帰ってきちゃうわよ?』

階段を降りていった俺に、母さんはタオルやら下着やらを投げる。

なんだよ。
こんなん脱衣所に置いといてくれたらいいだろ。

わざわざ渡さなくたって……

『何よ、瑛太。 何か言いたい事でもあんの?』
『別にー……』

母さんにそっぽを向き、バスルームに向かう。

途中、振り返ってみると、クスクスと笑うのが見えた。

『あんだよ…… 気持ちわりーな』
『別に? 瑛太が可笑しかったからよ?』

……悪かったな、可笑しくて。
つか、あんたのが変だっつーの。

『ほーら。 早く入っちゃいなさいよ!』

どうせこの人は、俺を捨てて出ていくんだ。

なのに、
なのに、そんな愛しそうに笑うなよ……
< 10 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop