(タイム)Timeless(レス)
お構いなしに訪ねてくる、昔のセフレ。
昨日着ていた喪服を脱ぎ捨て、今までと同じようにコンビニのバイトに勤(イソ)しむ、昔の友人。

腹立たしい事に、葉月ひとりの命は、世の中を変える程でかい物ではなかった。


『お、瑛太。 お疲れー』

例のバイトに勤しむ友人、明史(アキフミ)はヒラヒラと俺に手を振り笑顔を見せた。

『廃棄(ハイキ)のオデンくれ〜。 セブ○のオデン超好きー』

俺はレジに上半身を預けるように乗り、明史におねだりしてみせた。

『たまには金出して新しいの買えっつーの』

なーんて文句言いながらも、俺のために容器に移しておいた古いオデンを出すんだ。
こいつは。

『俺、捨てる前の真っ黒の玉子が好きなんだよねー。 だから新しいオデンはいりませーん』

ついでに、よく味のしみた大根もね。

『本当、相変わらずだよな瑛太は。 要領(ヨウリョウ)がいいっつーか、とにかく人を使うの上手いよな』

苦笑してみせる明史。

確かに昔からそうだった。
近所のおばちゃん、おじちゃん。
クラスの女子達。
皆から好かれる術を、自分で知ってた。

だから女に不自由はしなかったし、友達も多かった。

まぁ、女関係のひがみで敵も多かったけど……

『だからさ。 なんつーの? 昨日は、ちょっとビビった』

……?
葉月の事か?

『瑛太が一人にあんなにマジになるって……想像つかんかった』

……俺もだよ、明史。
葉月にマジになるなんて、出会ったあの時、思いもしなかったんだ。
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