(タイム)Timeless(レス)
『……ん…』
眩し……
ヤベ。
俺、そのまま寝ちゃったんだ。
ベッドに散乱する日記帳。
15歳から死ぬまで書いてたんだ。
1、2冊で終わるわけがない。
7冊はあるな。
1冊目についた自分のヨダレの痕を腕で拭き取り、日記を閉じる。
ふと、顔を上げてみると、そこにある不可思議な現象に目を疑った。
『壁……』
壁に穴がない。
昨晩、殴って割れたはずの壁が、無傷のまま。
俺の血の痕すらない。
それに、壁にかかっているのは……
高校の制服…?
『瑛太ー。 まだ起きてないのー?』
下のリビングから聞こえる母親の声に俺は驚き、ベッドから転げてしまう。
『早くしないと遅刻だよー。 瑛太、聞いてんのー?』
何でだよ。
何で母さんがいるんだよ。
空耳?
幻聴?
それを確かめるべく、一階に向かう。
『あ、やっと起きてきた』
そこには確かに母親の姿があった。
『何で母さんがいんの?』
思わず、眉をしかめて聞いてしまうが。
その理由は、今の俺に母親がいないからだ。
『は? 瑛太、大丈夫?』
『……何であんたが、ここにいるんだよ!』
母親は、俺が16になる日に他の男と出ていった。
ケーキを買いに行くだのと嘘をついて……
『変な子ねぇ。 早くご飯食べちゃいなさい?』
額をコツンと突かれ、またしても眉をしかめる。
何だ。
この、リアルな夢は……