(タイム)Timeless(レス)
《3番線 列車が参ります》
不思議な事に、この電車に乗り、学校へ向かう。
その事に対しての疑問は無かった。
当たり前のように制服を着て、鞄を持ち。
そして今に至(イタ)る。
目の前で開いた電車のドアに入る事すら、当たり前で、不思議に思わなかった。
車内は、ギュウギュウ満ぱん。
気を許したらトコロテンのように反対側から押し出されそうだ。
『ハァ……』
ようやく出口付近の位置を確保し、一息つく。
なんだか懐かしいな。
確か、高校生の時はいつもこうだったっけ。
かこん、かこん。
重い車体を揺らし、電車が動く。
勉強の嫌いだった俺は、いつもこの瞬間がたまらなく憂鬱(ユウウツ)だった。
たまにはサボって途中下車した事もあったけど、自分でも褒めてしまいたいくらい頑張って3年間、通い続けていた。
『……やッ…』
と、懐かしんでいた俺の耳に、今にも泣き出しそうな女の声が聞こえた。
辺りを見回しても、泣きそうな女はいない。
幻聴かと思ったその瞬間。
俺の目に、人間のクズが映った。
『やめ……お願…い』
スーツを着て、真面目を演じるクズは、すぐ前にいる女子高生の太股(フトモモ)をさすっていた。
足と手の間に空気すら入る余裕ないくらい、密着させ、いやらしく触れる。
俯いた女子高生の顔は見えないけど、声で判断する所、喜んではいないはず。
……仕方ねぇ大人…
俺はおっさんの肩をガッと引き寄せると、顔を思い切り覗き込んでやった。
うちの親父と何の変わりもない、普通のオヤジ。
ちょい期待外れでもあり、ショックでもある。
『おっさん。 彼女、嫌がってんだろ?』
不思議な事に、この電車に乗り、学校へ向かう。
その事に対しての疑問は無かった。
当たり前のように制服を着て、鞄を持ち。
そして今に至(イタ)る。
目の前で開いた電車のドアに入る事すら、当たり前で、不思議に思わなかった。
車内は、ギュウギュウ満ぱん。
気を許したらトコロテンのように反対側から押し出されそうだ。
『ハァ……』
ようやく出口付近の位置を確保し、一息つく。
なんだか懐かしいな。
確か、高校生の時はいつもこうだったっけ。
かこん、かこん。
重い車体を揺らし、電車が動く。
勉強の嫌いだった俺は、いつもこの瞬間がたまらなく憂鬱(ユウウツ)だった。
たまにはサボって途中下車した事もあったけど、自分でも褒めてしまいたいくらい頑張って3年間、通い続けていた。
『……やッ…』
と、懐かしんでいた俺の耳に、今にも泣き出しそうな女の声が聞こえた。
辺りを見回しても、泣きそうな女はいない。
幻聴かと思ったその瞬間。
俺の目に、人間のクズが映った。
『やめ……お願…い』
スーツを着て、真面目を演じるクズは、すぐ前にいる女子高生の太股(フトモモ)をさすっていた。
足と手の間に空気すら入る余裕ないくらい、密着させ、いやらしく触れる。
俯いた女子高生の顔は見えないけど、声で判断する所、喜んではいないはず。
……仕方ねぇ大人…
俺はおっさんの肩をガッと引き寄せると、顔を思い切り覗き込んでやった。
うちの親父と何の変わりもない、普通のオヤジ。
ちょい期待外れでもあり、ショックでもある。
『おっさん。 彼女、嫌がってんだろ?』