(タイム)Timeless(レス)
これは夢だ。
現実じゃない。

そう言い聞かせたくても、どこかで否定したい自分がいる。

だって、あまりにも似ているんだ。
葉月の日記にあった出来事と。

それに忘れていたけど、実際に葉月に出会った日もこんな感じだった気がする。

学校に向かう電車の中で女子高生を助ける。
そんな出来事が、高校に入ってすぐあった。

夢か?
現実か?

考えるだけで、頭が重くなりそうだ。

まぁ、夢ならいつか覚めるだろう……







『はよー、瑛太』

いつの間にか学校に着いてしまった。
まだ夢から醒めない。

人間は8時間くらい寝るだろ?
もしかして、この夢も……

いやいや、レム睡眠とかノンレム睡眠とかあんじゃん?
確かどっちかで夢を見るんだろ?

だったらそろそろ……

『瑛太〜。 返事ぐらいしろよ〜』

と、肩を叩いたのは…
確か祐輔だ。

懐かしいな。
高校卒業して以来だ。

『つか、お疲れ〜。 痴漢捕まえたとか、マジすごくね?』

祐輔は誇らしげな笑みを浮かべ、手を叩く。

『被害者って、うちの高校の奴なんだろ? 誰やった?』

……葉月…って言うのはマズイよな。

もし俺が痴漢にあっても笑い話になるから、皆に話して回るけど、葉月は女だからな。
きっと恥ずかしいだろうな。

『知らねーよ。 俯いてて、よく見えんかったし』

つーか、夢なんだっつーの。
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