私の好きな人
そして、昨日。

いつものように倉庫に呼ばれ、安田についていった私。



「おい、愁。」



名前を呼ばれたのは久しぶりのような気がする。



「何ですか?」



「お前は汚れてるんだ。」



「はい?」



安田はこの2年間ここにいて十分にわかりきった事を言った。

思わず聞き返してしまった。



「汚れてるんだよ。
お前の血は。」



お前の……血?


私はなんのことだかわからなくて首を傾げた。



「愁、お前の父親はあんな酒浸しになった奴ではない。」



あの父は……違う父?



「お前の父親は、
俺の妻と娘を殺した
…殺人犯だ。」



さつ…じん…はん…?


しかも…安田の…妻と娘を殺した犯人……?



「実の父親は、越間愁慈朗
(コシマ シュウジロウ)。
今は刑務所にいる。」



私は何も言えないでいた。
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop