私の好きな人
しばらくボーッとしていたようだった。
夜追が“どうしたの?”って顔で見てきた。
「ごめん。
ボーッとしちゃって…。」
「やっとだ。」
「うん?」
「愁が笑った。」
夜追は自分の幸せを感じるように笑った。
あたしも自然に笑顔になる。
「笑った方が可愛いよ。」
「そういうこと言われるならもっと臭くない人がいいよ。」
「あはは、ゴメンゴメン。
風呂ないからな。」
「家は?」
「ここ。」
夜追は下を指した。
まさかとは思ったけど………
「えっ?」
「ホームレスだよ。」
悪びれもなく笑う夜追をみて、羨ましく思った。
どうしてこんな状況であんな風に笑えるんだろう。
ドキドキドキドキ…………
胸がまた高鳴る。