私の好きな人
夜追は“ひかないの?”って目で私を見ている。
私は横に首をふった。
…あ、そういえば、
「……今思ったんだけど、
なんで私が“家ない”って言ったとき、“どうして?”って聞かなかったの?」
「だって、聞いてほしくないでしょ?」
そう、やっぱり変な人なんだ。
だって
今日会ったばかりなのに、
しかも枯れ木の下で泣いていた変な小娘なのに、
こんなにも私が思ってた答えをズバリと当てる。
「別にそんなの聞いたって、話終わった後にしらけるだけじゃん。」
「うん…。
ありがとう。」
「いえ、どーも。」
ふふん、鼻を鳴らして上機嫌に笑った。
さっきより笑顔な夜追に、また高鳴った。