花の傭兵
「バード、背のうにヒトガタが入ってる」

「死人め、そんなところに入ってたのか」

「とりあえず夕食にしよう。やつはどうせ暗くなったら出てくるだろう」

楽しい夕食のはずがみんなバードの背のうを気にしながらだったので食べたものがわからない感じだった。

夕食後、めいめい談笑していたがみんな気もそぞろだったので痺れを切らしたバードが背のうを持ち上げて中身をぶちまけた。

その中からたちまち鬼火が立ち上がり、焚火に風をおこして消してしまった。

「死人がせっかく気持ちよく寝てたのに起こすなんて失礼ですよ」
鬼火はヒトガタに戻って言う。

「勝手に入ってるお前の方が失礼だろ」

バードが怒りをこめて言う。

「私はご一緒するって言いましたし、合意は得ましたよ」

「だいたいまだお前の名前も聞いてないぞ」

「それは失礼しました。私は元はエルフで死人のアールジーンです。よろしく」

「私は一緒に旅するのは反対だ」

キイスは不服そうに言った。

「そうですか?おや、(辺りを見まして)どうやらカナス洞窟に行くんですね。それなら私が必要ですよ。そこの妖魔は死人が苦手なんです」



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