花の傭兵
ローズはココレットを持ち上げて一口飲んで

「じゃ、どこの国の人?」

と聞いた。

「ニッポンさ、こんな口調だけど、これでも花の女子高生だったんだぜ。上と下に男にはさまれてうつっちまったのさ」

「黄金の国、ニッポン?」

「この世界にニッポンがあるのか?詳しく教えてくれ?」

女性はローズの腕を強く握った。

「うーんと、よく知らないけど、ずっと東の果ての金でおおわれたお金もちの国だって」

「そっかぁ、それはマルコ・ポーロの書いたニッポンだな」

女性はちょっと肩を落とす。

「えぇと、ナナクサさんだっけ?お腹すいたんだけど…」

「名前はキョウコだよあんたは?」

ローズは本名を言おうか迷ったけど、いい人そうなので

「私はローズ・ノースウェイン、ローズって呼んで」

と言って右手を差し出す。

「あぁ、ローズ、これもなんかの縁だし、よろしくな」

キョウコも右手を出してローズの手を握った。

「それから、食べ物は昼と夜の二回なんだ。もうそろそろ夜だからラーナスが運んで来るだろう」

「なんで夜だってわかるの?」

「そこの岩壁の上の方に小さな穴が空いてるのさ。朝は日がはいるからわかる」



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