花の傭兵
その後、バードはノースウェイン近郊に来た時は、バラ園によってマームチェラートやそのほか様々な料理をごちそうになった。

もちろん、ローズが喜びそうなおもちゃを持って行ったが。

食べ物につられてなのか、バラの香りに酔ってなのか、バードにはわからなかった。

一年たったころ、ノースウェインが同盟国だったはずの南のサウスウェインにせめこまれて滅んだと風の噂に聞いた。

あのバラ園は?リリー妃は?まだ小さいローズはどうなったんだ?
バードは心配で休暇をとり、ノースウェインにかけつけた。

そこには焼けただれたバラの残骸を踏みつけ歩いているサウスウェインの兵士がたくさんいた。

あの美しかったバラが…

バードはしばらく立ち尽くしていたが、サウスウェインの兵士に不審な眼で見られたのでなきバラ園を後にする。

飲むにはまだ早い時間だったが、近くのバーに入った。

まだ客はいない。

「親父、ノースウェインの王族はどうなったんだ?」

「しー、声がでかい。王と妃は殺されたが、小さい娘は勇者に助け出されて逃げ出したんだ。今、サウスウェインの兵士があちこち探してる。この話はここで終わりだ」


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