花の傭兵
老婆
翌日は、早くにタリー村を出たので次のササヤ村にはお昼過ぎについた。

バードたちは、ローズのための男ものの服を探すために市場に行く。

辺りを物色していると

「そこのお方。そこの黒髪で黒いマントのお方」

テーブルに水晶だまをのせた占い師の老婆が呼びかけている。

バードは近づいて

「俺のことを呼んだか?」

と聞く。

「妖術使いの才があるな」

「確かに母親の家系は妖術使いだが、俺には大した才はない」

「嘘をつくでない。その眼で他人を思い通りにしたことがあるであろう」

「自分かってに思い通りになるだけだし、鍛冶師には必要ない」

「婆がいいものをあげよう。リルスの玉だ。妖術がもっと強くなるはず。魔力の強い剣も鍛えられる」

老婆は紐を通した黒い玉をかかげた。

「金は払わないぜ」

「お代は今はいらない。今度来るときに払うことなるはずだ」

「じゃ、もらっておくぜ。またこないけどな」

バードは玉を取り、紐を首にかけた。





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