花の傭兵
バードは邪魔になるので懐にしまっていたリルスの玉を取り出して、じっと見つめる。

しばらく見つめて黒い表面に変化がないので懐に戻そうとしてふと手を止めた。

玉の真ん中に白い光のようなものが広がっていったかと思うと小さい妖魔が映った。

《お主がこの玉の持ち主か?》

バードの頭の中で響く。

「あ、あぁ、俺がそうだ」

《声に出さずとも頭の中で考えるだけで伝わるぞ》

《そうなのか?お前こそ何ものだ?》

《われはお主の妖術の力を妖魔の姿で現したのだ。まだ力は弱いがな。われが妖魔の姿になるのはまれなことなのだ。お主は強い妖術使いになれるであろう。では、また会おう》

《ちょっと待て。ローズは助けられるのか?》

《それはお主しだいだな》

リルスの玉の中の妖魔は消えた。

俺しだいって…。どうすればいいんだ。

バードは妖魔が消えたリルスの玉を見つめた。

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