花の傭兵
一昼夜たった頃

「何か、ラーナスたちがさわいでましたよ」

先候から戻ってきた鬼火の姿のアールジーンがいった。

「鬼火を見てじゃないのか?」

ドワーフのキイスが嫌味を言う。

「もちろん、姿は見られてませんよ。死人の姿でも見つからない自信があります」

「バードに見つかったじゃないか?」

キイスはまた嫌味を言う。

「それはバードさんに強い妖術の力があるからです」

「おい、死人でも見つからないのなら俺のリルスの玉をラーナスたちのそばまで持って行って戻ってきてくれないか?」

何かを考えてたバードがアールジーンに言った。

「はい、お安いご用です」

たちまち、アールジーンは死人の姿になる。
バードは懐からリルスの玉を取り出してアールジーンに渡した。

「では行ってきます」

確かに洞窟の岩影から岩影にうつって進んで行ってる。

姿が見えなくなってしばらくして無事に戻って来た。

「戻って来ましたよ」

アールジーンはリルスの玉をバードに返した。

バードをそれを持ってみんなと離れたところで座りこむ。


《妖魔よ、ラーナスたちに何があったかわかるか?》

リルスの玉に小さい妖魔の姿が映る。

《われは娘が二人、牢やを抜け出したと聞いた》

《どちらの方角に行ったか?》

《まっすぐいくとどんどん地下に向かってそのままだと黄泉(よみ)の国に向かうぞ》








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