GOAL
「返せよ。」
「嫌だ。」
「返せって。」
「嫌だ!
なんで…?
なんでこんな事するの……?」
信じられなかった。
いつもいつも前を向いて笑顔を絶やさなかった彼が、一筋の涙を流していた。
「なんでって?
そんなのわかってるだろ…」
「わかんないよ…」
「サッカーが出来なきゃ、俺の人生は意味がないんだよ。
サッカーが出来ないくらいなら、死んだほうがましだ。」
そう言った彼はどこか清々しそうだった。
「…っ」
だけど……
パンッ
さっきアイツを叩いた時とは比べものにならないほど、私の手に痛みが走った。