GOAL
後半の試合が始まった。
後半開始直後、さっきのエースが相手のパスをカットして、そのまま駆け上がった。
そして、彼にパスを出した。
すると彼は、トラップでボールを落とし、相手のディフェンダーを一人、二人と、かわしていき、最後はミドルシュート。
絵に描いたような1点だった。
遠かった1点が、こんなにも簡単に入るなんて…
一気にチームの空気が明るくなった。
彼は空気を変える力を持っている。
彼といると、みんな笑顔になって、前を向けるようになるんだ。
私は夢を見ているようで、声を出せなかった。
叫ぶこともなく、ただ口元を手で覆うだけ。
ホントに、ホントに嬉しかったんだ。
彼が入った事で、いつものペースを掴んだ選手達は、相手のチームと互角に戦っていた。