GOAL
そして、後半40分。
この前にコーナーキックに頭を合わせて、さらに1点を重ねた彼が、また魅せてくれた。
中央でボールを取ったうちのチームは、細かいパスを繋ぎながら、ジリジリと前へ進んでいく。
そして、サイドでフリーだった選手にパスがわたった。
ボールをもらった選手は、なんとかディフェンダーをしのぎながらクロスをあげる。
そのボールに合わせようと、後ろから走り込んできた彼は、そのままボレーでシュートを決めた。
ゴールの隅に決まった、鮮やかなボレー。
彼は後半だけで、ハットトリックを達成してしまった。
これまでにないほど、大きな歓声があがった。
チームメイトに囲まれ、幸せそうな笑顔は、いままで見たことがない笑顔だった。
何にも曇らされることなく、清々しくて眩しい笑顔。
彼だけじゃなくて、チーム全体がそんな空気になっていた。
ロッカールームでのものが嘘のように…