GOAL
ゾロゾロとベンチを引き上げていく選手たち。
彼らの首には、銀メダルが輝いていた。
後半ロスタイム、もう1度アイツにヘディングで押し込まれたんだ。
結果は4‐3。
だけど、もうみんな悔いはないと思う。
これで3年生は引退。
もちろん、彼も、私も。
そして宿舎に戻ると、選手たちのマッサージをした。
このトーナメントに来て、初めてする彼のマッサージ。
そして最後のマッサージ。
ホントに壊れる寸前で、それだけ彼はこのチャンスに一生懸命だったんだ。
夕食後、私はまた星を見に外に出た。
夜になってセミの声が落ち着いてきた。
駐車場の生け垣に腰を下ろす。
雲っていてあんまり見えないけど、明るい真ん丸の月が、私を照らしてくれた。
私はこの3年間を思い出していた。
彼と出会って、彼が怪我をして、彼のリハビリを手伝って、彼を励まして、彼と喜んで…
今思えば、全部、彼で染まっているんだ。
あなたの3年間にも、サッカーだけじゃなくて、少しは私もいるのかな…?