GOAL
「ほんとにいいんだな…?」
あれだけ強引だったアイツが、そんなことを言い出した。
「今更何言って…」
私が最後まで言い切らないうちに、違う声が聞こえた。
私のものでも、アイツのものでもない声が、
「離せよ」
そう言ったんだ。
突然聞こえてきた声にびっくりした私たちは、声がする方へ顔を向けた。
そこには彼が立っていた。
すごいオーラを放ちながら…
「離せよ」
もう1度彼は言った。
彼の迫力におされたアイツは、離そうとした。
だけど、私は手を離さなかった。
「木坂には関係ない。」
もういいんだよ。
私があなたを苦しめたんだから…
私の言葉に1番驚いたのはアイツかもしれない。
目を大きく開いて私を見ていた。
そして次の瞬間…
私の体は、夜の冷たさに包まれていた。
信じられなくて、顔をあげた先には、彼とアイツが睨み合ってたんだ。