GOAL
今から3年前。
私も彼もまだ1年生の頃。
あるチームと1年生の親善試合をした。
相手のチームには、中学の時から注目されるスーパー選手がひとり。
噂では、かなり激しくプレッシャーをかけ、カードギリギリのプレーをする選手だ。
そして、不運にも、彼がこの選手のプレッシャーにかかってしまった。
ファールもカードも恐れずにスライディングをしてくる。
親善試合でこのプレー。
それはその選手が何にも一生懸命な証拠でもある。
だけど、その選手のものは限度を超えていた。
始めはなんとか交わしてドリブルしていた彼。
だけど時間が経つにつれてどんどん激しくなってくるプレッシャー。
ついに彼は倒され、その選手はファールをとられた。
再会の笛が鳴っても、彼は立ち上がらなかった。
それに気づいた監督が、控えの選手に担架をもっていかせ、彼はコートの外に運ばれた。
次の日、監督から聞いた話。
彼は右足の膝を骨折し、靱帯を切っていた。
手術をしなければ直らないそうだ。
彼の利き足は右。
その怪我は彼にとって絶望的なものだった。
決勝の前日の朝。
先発メンバーが発表された。
監督が一人ずつ、ポジションと名前を読み上げていく。
「以上11名。」
彼の名前は入っていなかった。
そっと彼の顔を覗く。
彼は絶望の色を浮かべていた。